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2019-03-03

歌が劇的に上達するDAWを使った練習法。ボイトレ以上に効率的なレベルアップ。

「テクニックも申し分ない、歌声も良い・・・だけど何かもの足りない」

歌を聴いた時、こんな風に感じられたことはありませんか?

そんな時、ボイトレやスクールに答えを探しにいくのも良いのですが、あまり効果を実感できていない…という方も多いかと思います。

今回は、そんなお悩みにお答えしたく、クリエイターの方から、音楽活動をされている歌い手の方まで、広くご活用頂けるノウハウをご紹介させて頂きたいと思います。

「現状の歌声/理想の歌声」を理解する

さて、今以上に歌を良くするにはどうしたら良いのでしょう?

まずは、ご自身の理想とするシンガーの歌をゆっくり冷静に聴いてみて下さい。
丁寧に聴いてみると、一つのフレーズを歌うにも、細心の注意が払われていることに気がつきます。

歌の一つのフレーズの、歌いはじめの部分、ここの音程を意識して聴いてみると「下からしゃくり上げる様に歌うのか?」「ストレートに狙った音程から入るのか?」「上から落として入るのか?」フレーズによって違うことに気がつきます。

また、一つのフレーズの、歌い終わりの部分、ここの音程も「下がる様に終わるのか?」「そのままの音程で終わるのか?」「上げる様に終わるのか?」フレーズによって違いますね?

別の要素を見てみましょう。


例えば、歌い終わりの部分、「音程がなくなっても、息が続いている」場合と「音程と息が同時に終わる」場合があったりします。


例えば、フレーズを伸ばして歌っている部分、何秒か経つまでは揺れない一定の音程で、何秒か経ってからビブラートがかかり始めたりします。その回数や揺れの深さは?ビブラートをわざとしない場合もあります。

この様に、一つのフレーズを歌うだけでも、様々な要素があります。

上手なシンガーはライブなどで何度歌っても同じニュアンスで歌えます。理想の歌い方のイメージや、表現のイメージがはっきりとできていて、心の中で歌い方に関するデザインや設計がしっかりされているということです。

したがって歌が上達するには、たった一つのフレーズを歌う中にも、理想の歌い方のデザインや設計が必要で、それを何度でも歌えるようにする必要があります。

まず練習としては、理想としているシンガーを目標に、細かな要素までそっくり同じ様に歌える様に練習してみて下さい。

歌い方のデザインや設計がぴったり同じになるように。

冒頭にあった「テクニックも申し分ない、歌声も良い・・・だけど何かもの足りない」というケースでは、その部分が曖昧だったり、いつも同じ自分の癖に頼っている場合がとても多いです。「どう歌うか?」という細かい部分までの意識が行き届いている歌へ移行できればベストです。

それができたら、今度は、自分の持ち歌の方で、本当に細かな部分まで理想の歌い方のデザインや設計をしっかりと決めて、その通りに何度でも歌えるように練習します。

・・・さて、とは言ったものの、確かにこれは練習方法を使うよりも効果的に上達できますが、実際の練習方法が中々難しそう、大変そうに見えますよね?

そこで、ここからが今回の本題です。
実はとっても簡単で良い上達方法があります。
それはDAWの機能を使った練習方法です。

便利なピッチ解析、編集機能

DAWには、簡単にピッチ=音程の解析をしたり、編集をできる機能が備わっています。
音程の変化や、タイミング、強弱が表示されるので、録った歌がどうなっているのか?目で見て確認できます。この機能を使わない手はありません。

まず、試しに歌を録ってみて下さい。
そして再生すると、歌を客観的に聞くことができますね。
これだけでもとても勉強になりますが、それだけではありません。

録音をしたら、次にDAWのピッチ解析機能をONにしてみて下さい。
録音した歌の音程がとても分かりやすく、音階状に表示されます。

※VariAudio(Cubase)、Flex Pitch(Logic)、付属以外にはMelodyne、AutoTuneなどがあります。

これらを使うと、自分の目で見て、音程の変化、タイミング、強弱がはっきりと分かります。
にょろにょろと、音程が描かれた線が描かれています。
細かなしゃくり上げや、音の上下のビブラート、音が飛んでいるところ・・・
この線が、ご自身が思い描いている通りであればベストです。

想像以上に音程に揺らぎが見られたり、意図していない音へ飛んだりしている部分も発見できるかもしれません。
その時は逆に大きなチャンスです。

このデータを元に、自分の理想としている歌い方と、どこがどう違うのか?
ゆっくりと冷静に見極めていきます。

理想の歌い方のデザインや設計に寄せていく

現状の自分の歌い方が分かったら、次は理想の歌い方のデザインや設計にしっかり寄せていく作業に入ります。

ここで、まずは、編集機能を使って自分の歌を加工して、理想のガイドを作っています。

つまり自分の歌声を元に、最高の理想通りの歌い方に再デザインし、
自分がどう歌えば理想的な歌い方ができるのか?先に答えを作ってしまいましょう。

元が自分の歌なのですから、シミュレーションとしては完璧で、毎回この通りに歌いこなせるようになれば良いだけですね。
あとは、何度も録音して、歌を解析して、また挑戦。
定期的に歌を記録しておけば、良かった時、上手くいかなかった時の違いも分かる様になります。

自分がどう歌えば理想的な歌い方ができるのか?
歌を加工していく過程で、上手なシンガーはどんな部分に気をつけているのか?
どれほど細かいな歌い方まで気にかけているのか?よく分かる様になります。

加工する際や練習する際には、DAWのスロー再生機能を使って、ビブラートの回数や、音程のブレ具合まで真似てみて下さい。
きっと今まで見えてこなかった驚く様な答えが見ててくるはずです。

もちろん、ピッチの揺らぎや声の上ずりなどは大事な歌表現の一つですので、それを直そう!という話ではありません。

大事なことは、ご自身の歌い回しの癖や、得意/不得意な音程をしっかり把握し、
意図的にビブラートや自然な揺らぎ、上ずりまでコントロールできるようになることが目標である、ということです。

DAW上で、揺らいでいる部分をまっすぐな音程に変化させてみたり、あえて誇張してビブラートの音程の幅を広げてみたりして、音の違いをよく聴いてみてください。

全体のストーリーやアレンジ構成、前後のメロディの文脈、歌詞など、さまざまな要素によって、その都度ベストな歌声は異なります。

それを見つけていくこともまた、重要な練習になります。

そして作り上げた理想の歌声は、まさにご自身の声そのものですので、自分だけのオーダーメイドのお手本となるわけです。

自分がどう歌っているのか、どう歌えば良い歌・魅力的な歌になるのか、まずはそこがしっかりと聴き分けられたり把握できることが重要です。

理想の歌声がどういうものかわからない、という場合は、既存の上手いプロボーカリストの歌声をよくよく聴いてみてください。

先ほど挙げたような、しゃくりなどの音の当て方、音価、ビブラートのリズムや回数、そのタイミングなど、あらゆる歌い回しの要素を発見できるよう集中して聴いてみてください。
だんだんと、良い歌、魅力的な歌というものがわかってくるはずです。

これができる様になった時、きっと、劇的な変化が見られるはずです。

今回は、ピッチ編集を例に取り上げましたが、タイミング編集やボリュームオートメーションを書く際にも、同じ概念で取り組んでみて頂ければと思います。

この方法は、実際に試して功を奏した方法の一つです。
是非多くの方にお試しご活用頂ければ幸いです。

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